2023年5月の業界動向とウワサ


 GWが終わり、日常に戻って連休を懐かしむ方も多いことでしょう。新型コロナを気にする必要もなくなり、旅行や帰省する方も多かったと思います。もちろんパチンコ・パチスロに興じた方もいらっしゃいますよね。連休前から話題の新台が全国のホールに設置され、相当の盛り上がりを見せたのは間違いありません。

 前回のコラムでも書きましたが、パチスロは絶好調の「スマスロ北斗の拳」に「Lゴブリンスレイヤー」や「アナザーゴッドハーデス-解き放たれし槍撃ver.-」と話題機種が目白押し。これらの機種を筆頭に6.5号機のメインどころも含めて軒並み稼働を押し上げ、パチスロコーナーは5号機時代の盛り上がりと同等まで持ち上がったと言っても過言ではない状況です。

 パチンコもまたスマパチの大本命「ぱちんこ 新・必殺仕置人S」がデビューしましたが、パチスロに押されて全体的には伸び悩んだという感じでしょうか。正確にはパチンコがダメなのではなく、パチスロが完全に息を吹き返したと見て取れますね。

 現行マシンの実力、そしてユーザーの動きを見る限り、まずスマスロの需要は確実にあるということが分かります。そして確率が例え低くとも、パチスロユーザーは一撃万枚を夢見られるスマスロに期待している。今後もスマスロ新機種が続々と登場してきますが、一定の人気を得られる可能性は高いと言えるでしょう。

 さて、異次元の稼働を見せている北斗の拳ですが、完全にホールのメイン機種として君臨する可能性が出てきました。この機種の素晴らしいところは、これまでどの機種でも成しえなかった「休眠層」をホールへと呼び戻すことに成功したことです。夏までに増台案件を含めて8万台程度まで設置が伸びる可能性もあるようですが、それでも大きく稼働が落ちることはしばらく無さそう。そうなると、ホールサイドも安心して設定を入れられるようになり、ユーザーも薄利で遊べる環境が出来上がります。

 さらに事実上の広告規制の緩和もあり、イベント行事はパチスロ営業との相性が良いので、そういったことも含めてパチスロ営業を軸にホールサイドも集客を考えると思われます。いわゆる「強い日(特定日)」は、パチスロ人気機種に狙いを定めて行くのが勝利への近道となるはずです。

 それではパチンコはどうなるのか? 花の慶次シリーズ完全新作もスマパチでの登場が決定しており、その後もメーカー各社から新機種のリリースが続くようです。しかし、スマパチを含めてパチンコでメガヒットマシンが登場するのはしばらく難しいと予想しています。いくつかあるその理由をここで説明したいと思います。

 まずスマパチ全体について。出玉性能は決して悪くないのですが、やはり総じてスペックが甘いこともあり、運用ベースでどうしても”回せない”機種が多いです。そして確率の下限が350分の1となったことで、初当りまで耐えられずに離席するユーザーが多いのも事実です。

 また、ユニットの供給もまだまだ十分ではないので、ユニットをスマパチで使うならスマスロで……と考えるホールは少なくない。そうなるとスマパチを導入しても少台数となり、ホール側からすれば玉を出すのはなかなか難しい環境となります。例えるなら、少し前のパチスロバラエティコーナーみたいな状況といえば理解しやすいでしょうか。

 玉ありP機も魅力的な新機種が多数登場すると思いますが、こちらもパチスロに押されて導入台数はかなり絞られるはず。今年に入ってからホールの購買トレンドは完全にパチスロへとシフトしており、パチンコで玉を出すにしても、まだまだエヴァンゲリオン、リゼロ鬼がかりあたりに集中投下する傾向は変わらない。残念ながら新台に期待するのは難しいというのが現状です。

 ゆらゆらとパチスロに傾きかけていた流れが、このGWの結果で完全にパチスロ中心となったのは間違いないところ。現行のパチンコ機にも魅力あふれる機種は多いのですが、しばらくは北斗の拳を中心としたパチスロ機がホール営業の主役となりそうです。

PROFILE/某メーカーの営業職を経験後、ホールコンサルティング事業を興すなど業界歴は長い。現在は販社に勤務。業界動向を独自の視点で分析し販売実績を伸ばしているやり手営業マン。業界メディアにも幅広い人脈を持つ情報通でもある。