2021年12月の業界動向とウワサ


 昨年に続き、今年もコロナウィルスの猛威によって右往左往した全世界。日本国内も例外なく対応に迫られて参りましたが、ワクチン接種率の高さによるものなのか秋以降の感染者数はかなり低い推移で保たれています。第6波を心配する報道は連日のように聞こえてきますが、実際のところマスクの事実上義務化くらいで、ほぼ日常に戻ったと言えるのではないでしょうか。それくらい日本国内においてはオミクロン株の脅威を感じない状況ではあります(12月上旬現在)。

 さて、そんな2021年ではありましたが、パチンコ業界はどんな一年だったのかを振り返ってみましょう。

 まずおさらいですが、本来なら2021年1月末、つまり今年の頭には規則改正以前の機械が設置期限満了となり撤去される予定でした。しかし昨今の事情や代替機の開発遅延等もあり、設置期限が1年間延期されることに。その条件を踏まえて段階的に新規則機への入替が進む予定でしたが、現状は特にパチスロの撤去が進んでいない状況です。しかし許された時間はあと数ヶ月しかなく、来年早々には全ての入替が完了し新時代突入となるはず…。

 パチスロの入替が進まず、最後まで5号機を(法的に許される範囲で)稼働させているホールサイドにも事情があります。2021年の秋以降にようやく6.2号機が市場投入されましたが、それ以前の6号機でヒット機種が限りなくゼロに近かったこと。また一番入替が進んでいないノーマルタイプもスペックの見劣りが明確で、使えるうちはどうしても5号機ノーマルタイプを置いておきたいということ。結果的に我々ユーザーも5号機をメインに遊技している事実があります。

 この年末に販売されるユニバーサルの「沖ドキ!DUO」が大注目されていますが、5号機完全撤去と同時に“6号機新時代“の幕開けとなるのか。この辺りの新機種がきっちりと使えるようなら、さらに有利区間撤廃&差枚数対応となることでコインを吐き出せる仕様に期待できます。つまりはパチスロに明るい未来を見いだせるのですが……。

 一方、パチンコはパチスロに比べると明るい一年でしたね。旧規則機の入替も順調に進んでおり、昨年末まではメインコースに君臨していた初代「ぱちんこCR真・北斗無双」や「CR真・花の慶次2 漆黒の衝撃」もかなり減台されています。今年前半は「P大工の源さん 超韋駄天」、後半は「P牙狼月虹ノ旅人」や「Pフィーバー 機動戦士ガンダムユニコーン」を中心に市場を席巻しました。超韋駄天は出玉のスピード感、そして牙狼やユニコーンはそのスピード感にプラスして1500発大当り搭載でツボにハマった時の爆発力がさらにアップ。パチンコ機の歴史を紐解いても、短時間で出玉を出すポテンシャルはトップクラスなのは間違いない。正直なところ「P機」も「S機(6号機)」と同じように射幸性を下げたマシンになっているはずなのですが、かなり規則と実態が乖離しているように感じるのは自分だけでしょうか……。

 スペック的にはパチンコはかなり飛躍した一年でしたが、冒頭でも触れたコロナの影響や、一時期ホール通いをしなくなった流れからのパチンコ離れなどもあり、稼働状況は前年対比ダウン。パチスロはスペックが落ちていることもあり、売上減を含めて深刻な状況です。よって年末にはホールを休店するという情報があっちこっちから聞こえてきており、来年1月を迎えた時点でさらに休店が増えるのは間違いないところ。パチンコ店の大型化は依然として進んでいますが、店舗数は全国8000店舗を早々に下回る勢いです。来年にかけてパチスロのスペックアップはありますが、業界全体としてはかなり厳しい一年になると予想されています。

 さて、ユーザー目線で見てみると、ホールの状況は完全に二分されています。このような厳しい状況だからこそ、お客様を付けようと相当薄利で営業しているホールがあるのは事実。それとは逆に少しでも回収しようと躍起になっているお店もあり、その差は広がるばかり。近隣のホールを見て回りその辺りを見極めることができれば、まだまだ勝負できるホールは見つかるはずです。しかし現時点でもう閑古鳥が鳴いているホールには「夢はない」と考えても問題ないでしょうし、それくらい勝負はついているように思います。年末年始の運試しをするなら客付きが最低でも3割近くはあるホールを選ぶと良いでしょう。皆さんの健闘を祈ります。今年も一年間コラムにお付き合いいただきありがとうございました!

PROFILE/某メーカーの営業職を経験後、ホールコンサルティング事業を興すなど業界歴は長い。現在は販社に勤務。業界動向を独自の視点で分析し販売実績を伸ばしているやり手営業マン。業界メディアにも幅広い人脈を持つ情報通でもある。