2020年8月の業界動向とウワサ


 コロナ第2波襲来か? と言っても過言ではないほど感染者数が増えているお盆前の日本。重症患者数が増えていないから経済を優先すべしという声もあるものの、やはり政治家はその判断を国民に求め、飲食業への時短営業のお願い、そしてお盆の帰省も自粛をお願いしつつ行くか行かないかの判断は各々の判断にお任せするといった状況。コロナ禍においては、政治判断をすることは残念ながらなさそうです。

 ワイドショーを含めた報道番組では連日コロナについて様々なニュースが流れていますが、GW前後に散々叩かれたパチンコ店に関しては全くと言っていいほど触れられていません。当初からクラスターが発生したという話は無かったものの、自粛要請に従わないホールが1つでもあればやり玉に挙げられ、そこに行列ができれば「密」と言って叩く。また、その時期にパチンコ店へ足を運ぶユーザーを「依存症」と罵り、世紀のパチンコバッシングが展開されました。しかしそんな報道に飽きたのか、それとも事実がようやく伝わったのか? この8月上旬をコロナ第2波と仮定するならば、少なくとも「パチンコ店は危ないから時短営業をしたほうがいい!」なんて声は全く聞こえてきません。

 そんなパチンコ業界は日に日に日常へと戻りつつあるものの、やはり前年対比で比べれば、都心部ほど客足が戻りきっていないのが現実です。その中で先月のコラムでも触れた三洋物産「P大工の源さん超韋駄天」の人気がさらにうなぎ登りで、ついに中古価格が200万円を超えて歴代パチンコNo.1の中古価格となったのです。時期的(お盆前)にも目玉機種が欲しい時で値段が高騰しやすいとはいえ、この価格高騰は異常。それだけ必要とされているのが分かります。また、未確認ではあるものの根強く囁かれているのが、再販分に対しての抱き合わせ販売。業界内では度々問題になるものの、実際のところ引き合いが多い機種に関しては付き合いの度合いによって台数を振り分けるしか方法もなく、メーカー側も中古機を高値で買うよりは他の機種を買ってもらったほうがお得……と営業をかける。悪しき商習慣ではありますが、これがまかり通ってしまう現実もあるのです。

 そもそも抱き合わせ販売という言葉が生まれてかれこれ20年以上経過したでしょうか。ギンギラパラダイスが大ヒットして、この機械の中古価格も相当な高値で取引されました。そしてその流れから海物語ブームが到来し、長きに渡りパチンコ機の王者として君臨するわけですが、当時の海物語は100台クラスで導入するホールも多く、トップ納品の確約がどうしても欲しいがためメーカーに掛け合う条件として他の機械も購入する…という流れが事務的に「機歴」なんて言葉へと発展していった経緯もあります。どちらかといえば、ホールサイドもある意味で条件を取るために仕方がないと思って付き合う向きは昔からありますし、むしろ一部のホールサイドが積極的に仕掛けていた背景も当時はありました。まあ、地域最速導入するだけでライバル店に圧倒的な差がつけられた時代だけに、それも営業戦略の1つだったのです。

 ヒット機種が生まれた際には必ずと言っていいほど販売方法にミソがつくことがありますが、まあ一般的には買えないホールの恨み節ではあります。しかしそのハードルが高すぎるとさすがに業界全体から文句が出ます。今回の源さん導入に関してはそのハードルの高さが問題となっており、何事もやりすぎには注意ということでしょうか。

 大手メーカーの1つであるサミーは他業種に習ってか、営業行為自体をECサイトで行う方向へと舵を切り、販社との契約を打ち切って機械販売をネット販売へ移行することを決定。この方法だと抱き合わせなんてことはできなくなりますが、逆を言えば購入が殺到した時にどのように注文を捌いていくのか…機械販売に長年携わる筆者にとっては、注目したい新たな機械販売の形であります。

PROFILE/某メーカーの営業職を経験後、ホールコンサルティング事業を興すなど業界歴は長い。現在は販社に勤務。業界動向を独自の視点で分析し販売実績を伸ばしているやり手営業マン。業界メディアにも幅広い人脈を持つ情報通でもある。