2016年8月の業界動向とウワサ


 釘問題がひと段落し、現在業界内の最もホットな話題は「バジリスク絆」を筆頭に、ホール営業の目玉機種であるユニバーサルマシンの再認定問題。再認定とは、簡単に言うと3年しかない保証期間が切れてしまった機械の保証書を再度発行することです。これによりメーカー保証された機械となるので、故障対応の部品出しも可能となるし、入れ替えもできるようになります。

 ホールサイドからすれば、これだけの人気機種なのですからまだまだ現役で使い続けたい=再認定を受けたいと思うのが当たり前。メーカー側も紆余曲折あったようですが、ゴト対応を含めた基板変更に応じてくれれば再認定するという方針が決まったようです。基板変更にはお金がかなりかかるので、そのあたりについては小言の一つも言いたくなりますが、何より再認定を受けられる事実の方がよっぽど大きいと思います。

 しかし、これに待ったをかける勢力があります。それはパチスロメーカー組合の日電協。どうして待ったをかけているのか? それはバジリスク絆をはじめとしたユニバーサルマシンが、一度爆裂機問題でリスト化された際に名を連ねているからです。つまり、保障しないで速やかに撤去する方向で進めてほしいとホール団体に陳情してきているわけですね。

 パチンコの釘問題で牙狼を含めたいわゆるMAXタイプを撤去しなくてはならないところに、パチスロでも同様のことをしなければならないとなると、もう完全に予算を含めた資金繰りが立ち行かなくなります。というような状況下、再認定されなくてもホールサイドはみなし機として、つまり保障されていないけれど営業機として使うという選択を取らざるを得ません。そうなるとホール間移動ができないですし、故障したら部品も替えられない。つまりその時点で撤去という流れになります。結局のところ撤去を迫るにしても法的根拠はありませんので、各団体や企業のエゴだけがこういった時には出てくる。ただユーザーの皆さんからしても、バジリスク絆は打ちたいですよね……。

 さて、そのユニバーサルグループからは9月にSLOT魔法少女まどか☆マギカ2が、そして年末にはスロットバジリスク3が登場予定だとか。おそらく“撤去が進むようならば“と考えて代替機をきっちり用意していたのでしょう。若干ながら予定が早まったとはいえ、パチンコの沖海シリーズとは大違いの対応。最近のユニバーサルはホールの入れ替え事情も含めて、戦略がきっちりしている印象があります。

 この先、パチスロも5.9号機に移行するとどんどんスペックダウンが見て取れるようになると思いますが、それでも“釘“というアナログ要素を残しているパチンコに比べれば、まだ安心して営業できるという点が素晴らしい。また、サミーの「パチスロ北斗の拳修羅の国篇」や、KPEの全面液晶パチスロ「メタルギア ソリッド スネークイーター」などの注目機もこれからホールデビューしますし、脇を固めるジャグラーシリーズ筆頭にノーマルタイプも充実してきましたから、ここ数年はパチスロ営業に分があると言って間違いないでしょう。

 パチンコはルパン、エヴァ、牙狼、沖海といった話題のタイトルが年末までに登場する予定となっています。おそらく、これらの新台が撤去されるMAXタイプの入れ替え対象機種の筆頭候補となっていくのでしょうが、やっぱり積極的な入れ替えにはならないでしょうから、業界全体でもいまいち盛り上がりに欠けているのは事実。その熱の低さが伝播してしまったらファンも冷めてしまうでしょうから、業界内で今一度パチンコ・パチスロの熱を消さないように頑張っていかなければなりませんね。
PROFILE/某メーカーの営業職を経験後、ホールコンサルティング事業を興すなど業界歴は長い。現在は販社に勤務。業界動向を独自の視点で分析し販売実績を伸ばしているやり手営業マン。業界メディアにも幅広い人脈を持つ情報通でもある。