2014年7月の業界動向とウワサ


 最近パチンコが売れていない……。これまでに当コラムでも何度か書いておりましたが、そんな状況を打開するマシンが登場!? この夏の大ヒット機種になりそうなのが、サンセイR&Dの「CR牙狼金色になれ」です。ド派手な金色枠に身を包み、過去に例がないほどお金を掛けたマシンだけあってインパクトは絶大。予定台数10万台に対して17万台の案件が上がっているとかで、メーカーサイドも嬉しい悲鳴なのでしょうが、各店舗への振り分けに一苦労という状況です。まあ売れないメーカーよりは良いことですけどね。

 実のところ、この夏は“パチンコの夏“と言っても過言ではありません。牙狼のヒットと共に話題になっているのが、こちらもメーカー最大コンテンツである京楽産業の「ぱちんこAKB48」。もちろん爆発的に売れているのは間違いないのですが、牙狼と比べると盛り上がりがイマイチ。スペックも前作とほぼ変わらずで、そういった意味では安心スペックではあるものの、牙狼のインパクトに比べれば地味に見えてしまうのは仕方がないところでしょうか。Webニュース等で見られた方も多いでしょうが、AKBを卒業した大島優子だけでなく、板野友美や篠田麻里子まで登場させてきたのはさすが京楽産業。これならば、AKB48コンテンツが弱くなったと言われている中でもパチンコに興味がないAKB48ファンを惹きつけるだけのパワーはあるはずなのですが……。どうやら足を引っ張っているのは販売施策上「ぱちスロ必殺仕事人」のお付き合いを強気でチラつかせたことのようです。ぱちスロ必殺仕事人自体はそれほど悪い機種ではないのですが、スペック的にもたくさん買う機械ではないと思います。その部分がAKBの足かせになったのは間違いないところでしょう。

 その他、お盆前商戦のスロットで一人勝ちと思われていたユニバーサルの「ヤジキタ道中記乙」も牙狼とぱちんこAKB48の回答待ちで苦労しているとか。ヤジキタもスペック的には悪くはないのですが、販売苦戦中との情報が入ってきています。9月にはいよいよ大都技研のサラリーマン番長が登場するとの情報も出ており、それを見越した買い控えもあるのかも知れません。それにしても今回の番長はなぜにサラリーマンなのでしょうか?

 それ以外ではタイヨーエレックが新機種の投入を急遽決定したことと、8月から9月にかけて番長の動向を見つつエンターライズが新機種を発表することが決定しているようです。これらの新機種ももう少し噂になっても良いと思いますが……まあこれが現実でしょうか。

 さて、今回の牙狼はメーカーサイドも利益がなくても牙狼ブランドをより強固にしようとする戦略が当たったと言えるのですが、実際これがヒットしなければパチンココーナーはもうどうしようもないというのがホール側の本音です。スペックに変化をあまりつけられないのだから、見た目のインパクトも含めた外観と豪華さでお客さんを集めようとする。しかし見た目が派手で興味を持ってくれるのは新装開店からしばらくだけであり、その派手さにもいつかは慣れてしまう。また大きく負けても大当りさせたいと思うのは最初だけです。結論を言うとこの機種でパチンココーナーが復権するわけはないのですが、こういったところにすがるしかないのもホールの苦しい実情ではあります。

PROFILE/某メーカーの営業職を経験後、ホールコンサルティング事業を興すなど業界歴は長い。現在は販社に勤務。業界動向を独自の視点で分析し販売実績を伸ばしているやり手営業マン。業界メディアにも幅広い人脈を持つ情報通でもある。