2019年10月の業界動向とウワサ


 10月上旬、パチンコホールの多くが加盟する最大規模団体「全日遊連」が、高射幸性パチスロの自主規制について再検討するというニュースが一斉に流れました。6号機の供給が間に合っていないというのが主な理由であり、2020年1月末時点で高射幸機の設置比率を5%まで落とすという自主規制を撤廃するか否かを、近く全国理事会で決議したいというのが現時点で報じられている事実です。実際に認定期間が延びるわけではないので、初代まどマギを筆頭にバジリスク絆やアナザーゴッドハーデスが延命されるわけではありませんが、それと同時に比率を守るとするならばミリオンゴッド凱旋あたりを中心とした高射幸機をさらに減台しなくてはなりませんでした。これを回避するべく土壇場でホール側が動いたということになります。

 打ち手とすれば魅力ある機種を長く打てたほうが楽しめる……とも言えますが、パチンコ業界側から見るとこれは極めて微妙な話。つまり目先の半年間の売り上げや稼働を取る代わりに、業界全体の“信用“を引き換えにするという話に過ぎないからです。規制強化に対する一連の流れに納得できないというホール関係者の気持ちや、先行きが不透明すぎて目先の売り上げに走らざるを得ない気持ちはわかりますが、自分たちで決めた自主規制を自分たちで撤廃するというのは、監督省庁だけではなく世間からもますます信頼されなくなるかと。10月末の総会決議で撤廃か否かが決定されますが、その結果は果たして…。

 さて、供給不足気味の6号機についてですが、年末に向けて大きな動きがありました。残念ながら今年の年末で撤去されるバジリスク絆…これの後継機種としてユニバーサルから発売予定だったバジリスク絆2が、年内の発売はほぼ無くなったとのこと。ギリギリのスペックを攻め続けたのか、適合が出なかったのが販売延期の理由らしいです。ちなみにハーデスの後継機種も年内は間に合わないらしい。その設置枠を巡り最も販売台数を伸ばしたのがサミーの「パチスロ北斗の拳 天昇」。当初は3万台程度を見込んでいると言われていましたが、バジリスク絆2が間に合わないという話が出てから5万台オーバーの受注数まで伸びたとか。高純増タイプゆえにリゼロと比較されることが多いようですが、その実力はいかに?

 その他、11月に発売されるパチスロはどの機種もほぼほぼ完売ペースと聞いています。10万台近くが撤去される予定の市場に対して、その約半分は売れると見込まれていたユニバマシンが発売延期になれば、やはりそれ以外での購入を検討しなければなりません。もちろんこういった流れも冒頭の高射幸機自主規制撤廃の件に繋がるのですが、確かにホール側の選択権が少ないのも事実。北斗天昇が少なくともリゼロ程度の動きをしてくれれば良いのですが、こればかりは設置されてみないと答えが出ませんね。

 パチンコは年末に向けて大型タイトルの噂はほぼ聞きません。理由は元々パチスロの入れ替えが目に見えており、そこに予算投入されることが見込まれていたから。現時点では京楽産業.が「ぱちんこ 劇場版 魔法少女まどか☆マギカ」を2万台近く販売しましたが、これを超える台数が出るとすればビスティのエヴァシリーズ最新作(それでも2万台程度)くらいでしょうか。

 以上が業界全体の年末から年明けに向けての流れになります。打ち手とすれば年末に向けてミリオンゴッド凱旋を含めた高射幸機の増台入替が目につく可能性があります。ちなみに台数が多いところでは沖ドキが2020年5月まで設置でき、ミリゴ凱旋が地域にもよりますが8〜9月くらいまで。パチンコでは北斗無双もギリギリまで使えるので、年末はもう一度この手の人気機種を中心に客集めするホールが増えるかもしれません。また、高射幸機ではありませんがジャグラーシリーズも認定が切れれば撤去が進んでいきます。長く使えるジャグラーシリーズについては、また次回以降のコラムで触れたいと思います。

PROFILE/某メーカーの営業職を経験後、ホールコンサルティング事業を興すなど業界歴は長い。現在は販社に勤務。業界動向を独自の視点で分析し販売実績を伸ばしているやり手営業マン。業界メディアにも幅広い人脈を持つ情報通でもある。