2019年9月の業界動向とウワサ


 年末の高射幸機撤去に向けて、各社とも一気に動き出しました。このコラムでも何度も触れているように、5号機は認定期間が終わると同時に再認定はできず、撤去していかなければなりません。それ以前に自主的に設置比率を下げるといった動きもありましたが、こちらはなし崩し的に無かったことに。認定を受けていない機械を設置することは、厳密に言えば違反ではありませんが、保証書が無い状態の機械=許可を得ていない機械扱いとなり、部品交換もできず台移動もできないため事実上それらで営業することは難しいでしょう。撤去間近の高射幸機は設置台数が多いところでバジリスク絆、アナザーゴッドハーデスなどがあり、この代替機をホールは探さなければなりません。

 代替機候補にまず名乗りを上げたのが、サミーグループ最大級コンテンツといっても過言ではない「北斗の拳」シリーズの最新作で、その名も「パチスロ北斗の拳 天昇」。こちらは11月設置で営業がスタートしています。本機は純増約6.3枚/Gで目押し要らずのAT「真・天昇RUSH」を搭載。RUSHにはバトルに3回勝利できれば突入し、そうなれば約6.3枚/Gの純増でバトルに勝ち続ける限りATが継続するとのこと。現在のところ高純増機といえばリゼロしか市場にありません。特にリゼロは無抽選に近い区間があり、それが昨今の稼働低下を招く要因となっていますが、北斗の拳 天昇はそのような区間が無いのもウリのひとつ。現時点では3万台近く生産可能とのことですが、完売は間違いないでしょう。

 もう1機種、高純増で名乗りを上げているのがニューギングループのEXCITEから登場する「パチスロ サラリーマン金太郎〜MAX〜」。こちらは純増約8枚/Gということですが、出玉減算区間があるために実際の純増はそれ以下。しかしAT中に純増約8枚の速度で増えていくのは魅力です。こちらは11月上旬にホールデビューの予定で、すでに1万台が完売とのこと。

 さて、本来年末に向けてはユニバーサルグループからハーデスとバジリスク絆の後継機種が登場すると噂されており、その2機種が目玉となるのは間違いない流れでした。しかし9月上旬時点でユニバーサルグループからの音沙汰は無し。バジリスク絆2は検定を通過し始めているようですが、さらに初代絆に似た本命スペックを保通協に持ち込んでいるとのことで、ギリギリで発表してくるのではないかと言われています。また、ハーデスに至ってはGODシリーズのイメージを損なうようなスペックでは発売しないことが決定したとかしないとか。

 ユニバ系6号機の特徴として、先行発売された弥生ちゃんやギャラガ、SLOT劇場版魔法少女まどか☆マギカ[新編]叛逆の物語を見ても、5号機の延長線上で機械作りをしているように思われます。もちろん6号機には2400枚リミッターが搭載されているので、どれだけ上乗せしようが継続しようが一撃で獲得できる枚数は決まっています。しかし、高純増ゆえに初当りがかなり遠くなるということは設計開発の時点で避けることができます。6号機も5号機の純増性能をベースにした緩やかなタイプと、高純増で出玉の塊を一気に出すことはできるが初当りがかなり遠いタイプと、2タイプに分かれて開発が進むことでしょう。リゼロのヒットによってしばらくは高純増タイプが市場に増える可能性がありますが、どちらのタイプが最終的に支持されていくかは今後のブラッシュアップ次第ではあります。

 いずれにせよ、サラ金と北斗の拳の2機種だけでは撤去機種のスペースを埋めることができないのは明白。各メーカーが型式試験に適合しないようなキワキワなスペックを持ち込んでいることも問題なのかもしれませんが、供給がなければ撤去も進まない。まあ、それを理由に高射幸機を撤去しないホールが出てくれば、これまた業界としては問題なのですが…。そういう状況であるから試験方法を変えたり基準を変えたりするというのはおかしな話なのですが、供給が間に合うようにするには業界全体として監督官庁と話を進めていかなければならないでしょうね。

PROFILE/某メーカーの営業職を経験後、ホールコンサルティング事業を興すなど業界歴は長い。現在は販社に勤務。業界動向を独自の視点で分析し販売実績を伸ばしているやり手営業マン。業界メディアにも幅広い人脈を持つ情報通でもある。